「働き方改革」導入の背景

コロナ禍の前には、働き方改革法案の施行に伴い「働き方改革」というキーワードを毎日のように目にしていました。

働き方改革というと、何をイメージするでしょうか?

働き方改革推進の「背景」としては、「働きやすい環境づくり」と「働く環境の阻害要因の打破」の必要性の高まりがあります。前者は、日本の人口減や労働力人口減少の見通しによって、女性や高齢者、外国人が働きやすい環境を作る必要性、つまりダイバーシティマネジメントの必要性の高まりです。後者は、長時間労働や各種ハラスメントによってメンタルヘルスが悪化し、過労死や過労自殺をも招くという事例から生じた「ブラックな働き方は悪である」という動きの高まりです。

企業に課せられる義務

働き方改革に伴う「法改正」によって企業に課せられる義務としては、残業時間の上限規制、有給休暇の年間5日以上の取得義務化、非正規雇用社員の処遇是正につながる同一労働同一賃金などが挙げられます。

以上のように様々なキーワードが思い浮かびますが、国レベル、企業レベル、個人レベルそれぞれの目的の包括的な理解がないまま、法改正への目先の対応や流行りの施策に追従した取組みをするのでは、逆に働く社員の働きがいを損なう結果となってしまうという危機感があります。

負の連鎖の危険性

「確かに残業時間は減り、有給休暇の取得率が上がった」
「しかし、社員のやりがいやモチベーションが高まったかというと一概にそうとは言えない」
「なぜならば、勤務・業務管理の厳格化によってストレスが増大したため」
「さらには、労働時間が削減され常に余裕がなくアウトプットの品質が下がった」
「顧客の満足度が低下し、人件費は増大し、最終的に会社の利益は減った」

という負の連鎖に陥り、組織が混乱する可能性すらあるのです。

残業時間の上限規制や有給休暇の取得義務化などの「やらなければならない」ことが、イコール「やるべきこと」であるとは限りません。

働き方改革で目指すべき自社の目的とは

働き方改革を通して自社が目指すべき「ありたい姿」はどんなものでしょうか?

自社の「ありたい姿」と現状とのギャップを埋めるために、自社の課題や風土に合ったどのような本質的な取り組みを講じるべきでしょうか。

風土に合った取り組み

たとえば、残業時間の上限規制に対して、どのような本質的な取り組みをする必要があるでしょうか。

社員100人で一人当たり月平均50時間の残業が発生している会社で、30時間/月を上限とする社内ルールを設けたとしましょう。単純に、20時間X100人=毎月2000時間の残業を削減する必要があります。

「22時の強制消灯」「チーム残業実績をマネージャーの人事評価項目に追加」などの表面的な対応で、自然と2000時間の残業削減が達成できるわけではありません。自宅への持ち帰り残業、残業がカウントされないマネージャーが仕事を抱え込んで疲弊するなどの症状が発生し、残業削減目標の未達成のみならず、何よりも社員のモチベーションを下げてしまう結果となります。

ですから、個々の社員任せではなく、経営の意思に基づき組織として下記のような具体的なアクションを取る必要があります。

具体的なアクションとは

①仕事量を維持しながら、社員を10強増員し2000時間分の残業を吸収する

②2000時間分に該当する仕事量を減らす=仕事を断り売上・利益を減らす

③仕事量を維持しながら、業務効率化や平準化などの工夫で2000時間分の工数を削減する

①や②の対応策は企業の利益を減らすこととなります。しかし、国として残業時間の上限規制をする目的は、「企業の利益は減ってもよいが、それでも社員の労働時間を減らそう」なのでしょうか?そうではありません。

働き方改革の基本的な考え方

厚生労働省による「働き方改革の基本的な考え方」には、日本が直面する「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」、「働く方々のニーズの多様化」などの課題に対応するためには、投資やイノベーションによる生産性向上とともに、就業機会の拡大や意欲・能力を存分に発揮できる環境をつくることが必要です」と述べられています。

「働きやすい環境づくり」と「働く環境の阻害要因の打破」だけではなく、経営資源(リソース)の投入によって、「組織としての生産性を向上させる」ことも目的として掲げられているのです。

前述の3つの選択肢では③がそれに該当します。

この目的に照らし合わせると、有給休暇の取得率が向上しても、結果としての生産性が向上せずに利益が減少しているならば、何のための改革なのかということです。

自社の取り組みが「手段の目的化」となっていないか、今一度振り返る必要があるでしょう。

働き方改革とは「改革」ではなく、当たり前の「経営」

このように働き方改革の本質とは、「環境変化に対応しながら、経営資源(リソース)を投下して生産性向上を図り永続的な企業成長を目指すこと」であり、これは改革でも何でもなく、当たり前の「経営」です。

働き方改革法案の施行によって右往左往する企業と、すでに取り組みを行っていて大きな問題が起こらない企業に二分されるのは、これまでの「経営そのもの」に対する考え方の差異に起因するのです。




「HRvis」は、人事のプロである社会保険労務士と、システムのプロが共同開発した、クラウド型タレントマネジメント人事評価システムです。スキルマップを活用した社員のタレント管理自社に合わせた人事評価制度のカスタマイズが可能です。また、、他の人事評価サービスにはない、賃金・賞与査定機能も取り揃えております。


人材評価の方法についてお悩みの方は、ぜひ人事評価システムの導入をご検討ください!

ロイヤル総合研究所

人事コンサルティングチーム