組織成長を促す!人事評価のための戦略的目標設定法

2025.06.24

人事評価制度は、社員の成長を支えるだけでなく、企業全体のビジョン実現に向けた組織運営の基盤とも言えます。しかし、評価制度を有効に機能させるには、その前提となる「目標設定」の質が非常に重要です。今回は、戦略的な目標設定の基本から実践方法まで、初心者にも分かりやすく解説していきます。

戦略的目標設定の基本

目標設定の枠組み

人事評価制度において最初に重要なのは、明確で実行可能な目標を設定することです。目標が曖昧だと、評価も曖昧になり、社員の成長も期待できません。以下のような枠組みを意識しましょう。

  • 組織目標に基づいて個人目標を設定すること
  • 数字や具体的な業績で客観的に評価できる目標にすること
  • 成果だけでなくプロセスも評価対象にすること

また、目標設定は上司からの一方的な指示で完結すべきものではありません。社員本人と上司が面談を重ね、業務の内容や本人の希望、スキル成長の方向性を共有したうえで、双方納得のいく目標を決定することが求められます。

SMART目標とは?

目標設定における代表的なフレームワークがSMARTです。これは次の5つの要素の頭文字を取ったものです。

  • S(Specific)具体的である
  • M(Measurable)測定可能である
  • A(Achievable)達成可能である
  • R(Relevant)関連性がある
  • T(Time-bound)期限がある

これらを満たすことで、目標はより明確になり、客観的な評価が可能となります。

例えば「売上を伸ばす」という目標では曖昧であり、評価基準がぶれてしまいます。しかし「今期末までに新規契約を10件獲得する」というようにSMARTに基づいて目標を立てることで、進捗の確認や成果の判定がしやすくなり、評価制度としての信頼性も高まるのです。。

SMART目標の具体的な活用法

例えば、営業職の場合:

  • NG例:「営業活動を頑張る」
  • SMART例:「今期末までに新規契約を10件獲得する(S・M・A・T)。そのために週2回の訪問営業を行い、重点顧客リストに基づいて提案を実施する(R)」

このように、誰が読んでも分かる具体的な目標にすることが、人事評価においては不可欠です。企画や管理部門では、定性的な目標も多くなりますが、その場合でも「提案件数」「業務改善提案の実施回数」など、行動を測定できるように言い換える工夫が重要になります。

達成基準と評価基準の設定

個人目標と組織目標の整合性をとるステップ

社員の目標が、組織の方向性とずれていては意味がありません。整合性をとるには次のステップを踏みましょう

  • 組織の中期経営計画や年度目標を明示する
  • 部門目標 → チーム目標 → 個人目標へと分解する
  • 上司と部下の1on1面談で、すり合わせを行う

このように目標を紐づけていくことにより、社員は自分の業務がどのように組織全体に貢献しているのかを理解しやすくなります。そしてその理解は、働きがいや目標達成へのモチベーション維持にもつながります。

目標を達成するために行動計画が必要!

目標は掲げただけでは達成されません。そのために必要なのが具体的な行動計画です。行動計画では、目標を達成するための細かいプロセスを明らかにします。

  • 誰と連携するか(関係者)
  • いつまでに何をするか(スケジュール)
  • どのように進捗をチェックするか(モニタリング)

行動計画を立てると、途中での振り返りや修正も楽にできます。また、上司との面談時に行動内容を共有することで、サポートの方向性も明確になります。評価時にも、プロセスが記録されていれば「なぜ目標が達成されたのか」「達成できなかった理由は何か」を判断しやすくなります。

目標設定シートの活用法

目標設定シートの重要性

評価制度を制度として運用していく際には、個々の目標がどのように設定され、どう評価されたかを確認する仕組みが不可欠です。

目標設定シートはその中核をなす存在であり、運用の一貫性や透明性を保つ役割を担います。

さらに、定期的に行われる面談やフィードバックでも活用できます。目標を振り返り、必要に応じて修正したり、環境変化に応じて再設定したりする柔軟性を持たせることも効果的です。

記入の具体例

目標設定シートの記入例を紹介します。

項目 内容

目標

2025年9月末までに既存顧客からの受注率を20%向上させる
達成基準 現在の受注率30% → 50%への改善
行動計画 毎月5社にアフターフォローを実施し、フィードバックを取得

このほかに、関連部門や進捗確認の方法などを必要に応じて入れておくと、目標達成のための後追いがしやすくなります。完成した目標は、明文化して関係者と共有することが大切です。

目標設定の課題を解決するには?

目標や評価項目の選定における注意点

評価項目を設計する際には、以下のポイントを押さえましょう。

  • 会社のバリューや行動指針と結びつける
  • 数値だけでなく、達成するための過程やチームへの貢献も評価する
  • 職種ごとの特性に合った指標を選ぶ

「挑戦を重んじる」文化を持つ企業であれば、失敗を恐れずに挑戦した行動自体を評価対象に含めるなど、理念との整合性を意識することが重要です。評価項目は職種に応じてカスタマイズする必要があります。営業職であれば売上や受注件数が重視されますが、管理部門であれば改善提案や業務効率化の取り組みが評価対象となることが多いです。

目標が思いつかない場合の対策

目標が思いつかない、という悩みはよくあります。その場合は:

  • 職種別の目標事例を参考にする
  • チーム目標から逆算する
  • 過去の実績や課題からヒントを得る

HRvisのようなツールを使えば、等級別の目標テンプレートを目標設定の参考にできるため、初心者でも適切な目標を設計しやすくなります。HRvisのAI目標設定機能では、スキルマップや等級、前回の評価をもとに、AIが個々人に合った目標のたたき台を提案します。そのため、この3つを網羅した目標設定が可能になります。

目標をモチベーション維持に活用するには

人事評価は、社員のやる気を高めるツールにもなり得ます。次のような工夫が有効です。

  • 定期的なフィードバック(四半期ごとの面談など)
  • 達成した目標に対する報奨や表彰制度
  • 上司による承認や感謝の言葉

HRvisでは、上司からのコメント記録や1on1面談の履歴も簡単に保存できるため、社員の努力を見える化し、適切なタイミングで指導・称賛することができます。

HRvisで戦略的人事評価を実現しよう

戦略的な目標設定は、組織の成長を支える土台です。小さく始めて、少しずつ制度を育てていくことで、社員の行動が組織の成果にしっかりつながっていきます。

HRvisは、目標設定から進捗管理、評価・フィードバックまでを一つのシステムで管理できます。特に初めて人事制度を導入する企業でも、すぐに使えるテンプレートと直感的な操作でスムーズにスタートできます。

中でもAI目標設定機能は、人事制度の運用を一段とスムーズにする革新的な機能です。この機能では、従業員のスキルマップや等級、前回の評価シート、会社目標や所属部署の目標といった、HRvisに蓄積された情報をもとに、AIが目標案を自動で提示してくれます。評価者にも社員にも役立つ「たたき台」として、設定の手間を大幅に軽減します。

HRvisで、組織の未来につながる評価制度を始めてみませんか?

ロイヤル総合研究所 コンサルティング部