昇給率方式を徹底解説!意外なメリットとは?

2025.10.30

昇給率方式の基本理解

昇給率方式とは何か?

企業が従業員の給与を毎年どのように上げていくか――その仕組みを決めるのが「昇給制度」です。

その中でも「昇給率方式」とは、評価に応じて賃金を何%引き上げるかを決定するスタイルの制度です。

例えば、評価Sは+2.0%、評価Aは+1.5%、評価Bは+1.0%……といったように、一定のパーセントで昇給額を決めます。

一般的に、給与制度には主に2種類の設計方法があります。

  • テーブル方式:等級ごとに昇給額を固定し、表に基づいて昇給
  • 昇給率方式(定率方式):評価に応じて、現在の給与に対して一定割合を昇給

今回解説する「昇給率方式」は、企業や社会の状況に応じて柔軟に運用できるため、主に大企業で多く採用されている制度です。

一方、制度が複雑化しやすいという側面もあるため、スタートアップや中小企業では「テーブル方式」を採用するケースが多いのが現状です。

昇給率方式の導入背景

昨今はビジネススピードが速くなり、人材の流動性が高まっています。

こうした流れの中、様々な会社で以下のようなことが起こり始めています。

  • 年功より成果を評価する文化が浸透しつつある
  • 中途採用が増加し、入社時点の給与差が大きくなっている

このような社会・経営環境の変化に対応するため、制度や情勢に合わせて柔軟に運用できる昇給率方式への移行が進んでいます。

昇給率方式導入のメリットとは?

大幅な制度変更やベースアップに対応しやすい

昇給率方式では、給与テーブルを固定しません。

昇給率方式は、会社の業績や物価上昇(インフレ)に応じて柔軟に賃金を調整できることが大きな特徴です。

  • 経済環境が厳しい場合:昇給率を低めに設定
  • 好況で利益が伸びた場合:昇給率を高めに設定

昇給率方式では、給与テーブルを都度修正しなくても、決めた昇給率を全社員に適用するだけで反映でき、制度変更の負担が少ない点が評価されています。

中途社員の賃金決定に柔軟に対応しやすい

等級・職種・経験がバラバラな中途採用が増える現代では、入社時点での給与差が大きくなります。

昇給率方式は、現在の給与に対して割合で昇給するため、初任給の差があっても公平に評価結果を反映できます。

例:

  • 月収40万円 → 評価A(1.5%昇給)=+6,000円
  • 月収60万円 → 評価A(1.5%昇給)=+9,000円

経験と期待役割の差を残したまま、自然に給与差が維持されます。

昇給率方式に基づく給与体系の設計

ここからは、具体的に制度設計の手順を説明します。

ただし、制度を設計する際、最初は数値を仮設定し、賃金シミュレーションをしたうえで最終決定してください。

本給下限額の設定

まず等級ごとに「最低給与額」を決めます。

最初の等級の下限額は高卒初任給が1号俸になる程度の金額に設定し、等級が上がる都度数万円昇格させます。

等級間の差額について、中小企業は、一般職で3万円前後、専門職で4万~5万円前後、管理職で5万~6万円程度の昇格額がおすすめです。

例:

  • S1(新人):月給160,000円
  • S2:月給190,000円
  • M3:月給370,000円

キャリアの伸びに合わせて段階的に昇給できる幅を用意しましょう。

本給上限額の設定

次に、等級ごとに「最高給与額」を設定します。

昇給率方式でも、無制限に給与が上がるわけではありません。

各等級に上限額を設け、到達後は次の等級昇格が必要になるよう設定します。

標準的な評価で2%程度昇給することを前提に10~15年程度で上限額に達するようにしましょう。

昇給率の設定

昇給率は固定して設定することができますが、業績や従業員との交渉状況に応じて変動させることもできます。

昇給率を固定制にするか変動制にするかは会社の方針に照らして決定してください。

いずれの場合においても、基準となる標準的な昇給率を予め決めておきましょう。

例:

  • 評価S:2.0%
  • 評価A:1.5%
  • 評価B:1.0%
  • 評価C:0%

優秀な社員には大きく報いる一方、期待未達の場合は昇給ゼロやマイナスも設定します。これにより、評価制度としてメリハリがつきます。

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