初任給の決め方とポイント

2023.09.21
初任給の決め方とポイント

今回は、企業が人を採用するときの初任給の決め方について、詳しく解説します。初任給とは、新入社員が入社した最初の月に支払われる給与のことです。初任給は、新入社員のモチベーションやパフォーマンスに大きく影響するだけでなく、企業の採用力やブランド力にも関わる重要な要素です。そのため、適切な初任給を決めることが必要ですが、その際には以下の点に注意して決める必要があります。

世間水準との比較

初任給を決めるときには、まず、同業種や同規模の企業がどのくらい支払っているかを調べて、世間水準と比較することが大切です。世間水準とは、一般的な市場価値や相場のことで、労働者や求職者の参考になる情報です。世間水準よりも高すぎると、経営に負担がかかりますし、低すぎると、優秀な人材を確保できません。世間水準に合わせるか、少し上回るくらいが理想的です。例えば、2021年度の大卒者の平均初任給は21万円程度でしたが、IT業界では25万円以上、金融業界では30万円以上というように、業界や職種によって差があります。

※参考:厚生労働省「賃金構造基本統計調査(初任給)」

初任給を決めるときに重要なポイント

新入社員への説明

初任給を決めるときには、単に数字だけでなく、その背景や根拠も明確にすることが重要です。新入社員には、自分の初任給がどういう基準で決まったのか、どういう評価や期待があるのかを説明して理解させることが必要です。そうすることで、新入社員は自分の価値や目標を把握しやすくなりますし、企業への信頼感や帰属意識も高まります

定期的な見直し

また、初任給は固定的なものではなく、定期的に見直すことが必要です。特に平成後期から賃金が上昇し続けているため、定期的な見直しを行わないと自社の賃金が世間水準よりどんどん低くなってしまい、後から調整することが難しくなってしまいます。初任給の統計は毎年労働局が発表していますので、こういった統計を確認し、市場の動向や社員の成長に応じて、適正な初任給を支払うことが、企業と社員の双方にとって良い関係を築くことにつながります。

自社の賃金体系が世間水準より低い時の対策

しかし、自社の賃金体系が世間水準より低い場合は、初任給だけを上げることはできません。そうすると、既存の社員との不公平感や不満が生じます。その場合は、自社の賃金体系全体を見直す必要があります。賃金水準を上げる最も一般的な方法はベースアップです。ただし、ベースアップは人件費の増加が伴うため会社の業績等を勘案して慎重に判断しなければなりません。ベースアップ以外の方法では、成果に応じて賞与や昇給する制度を導入したり、入社祝い金や住宅手当などの特別手当を支払うことも一つの方法です。福利厚生や教育制度を充実させたりすることで、初任給以外の魅力をアピールすることもできます。

まとめ

以上が、企業が人を採用するときの初任給の決め方についてのポイントです。これらを加味して、以下の対策を行うことで初任給の決定に悩むことがなくなります。

賃金体系を作成し、あらかじめ初任給を決めておく

賃金テーブルや初任給テーブルを作成し、あらかじめ初任給を決めておけば、採用の際に初任給に悩まなくて済みます。担当職務や経験年数等によって初任給に段階を持たせることで中途採用者の初任給も決めやすくなります。

毎年、世間水準と比較して見直しを行う

毎年、自社の賃金体系を世間水準と比較しましょう。世間水準を下回る場合は、小まめに改定することを推奨します。なぜなら、現在は毎年数千円ずつ初任給が上昇しています。4~5年放置すると自社の初任給が1万円以上世間水準を下回ることになります。初任給をいきなり1万円以上上げると、それ以前に入社した社員の賃金も上げなければならなくなり調整が困難になります。したがって、初任給は毎年必ず見直しましょう。

初任給は、新入社員だけでなく、企業全体にも影響する重要なファクターです。適切な初任給を決めることで、新入社員のモチベーションやパフォーマンスを高めることができます。




「HRvis」は、人事のプロである社会保険労務士と、システムのプロが共同開発した、クラウド型タレントマネジメント人事評価システムです。スキルマップを活用した社員のタレント管理自社に合わせた人事評価制度のカスタマイズが可能です。また、、他の人事評価サービスにはない、賃金・賞与査定機能も取り揃えております。


人材評価の方法についてお悩みの方は、ぜひ人事評価システムの導入をご検討ください!

ロイヤル総合研究所

人事コンサルティングチーム