人事制度がうまく機能しないのはなぜか?要因と対策について解説

2024.01.10

人事制度がうまく機能していない要因

中堅・中小企業において人事制度が確立していてもうまく機能している会社は非常に少ないものです。理由として次の点が挙げられます。

・人事制度の目的や効果が社員に理解されていないまま進んでいる
・人事部から評価・面談のアナウンスをすると面倒だなという空気が流れる
・評価や面談、評価会議に費やす時間が業務運営に支障をきたすという不満の声がある
・評価者である上司も、被評価者である部下も、面談が憂鬱と感じている
・当社の評価制度は査定のための評価制度であり、育成・教育と切り離されている
・評価だけで時間もエネルギーも割かれてしまう上に、評価が終わると同時に次の目標設定が始まり、じっくり考える間もなく記入・提出を求められ、間に合わせの作業で欄を埋めるだけの質の低い目標設定になってしまう

ではどのように解決すればいいでしょうか。多くの会社に共通する評価制度や人材育成についての問題意識と機能不全の代表的な症例と解決案を以下にまとめます。

よくある事例と解決案

人事評価制度の運用がうまくいっていない企業においてよくある事例と解決策をご紹介します。

◆人事評価・面談のアナウンスをすると社内で面倒な空気が流れる

このような状況の場合、面談に時間をとられることを面倒に感じている従業員が多いと推定されます。査定は差をつけるのが目的でないので時間をかけずに終わらせるようにしましょう。

◆評価は期末の終わりの行事であり、期の振り返りと評価の理由の伝達

評価は終わりの行事ではなく、期初スタートに向けての出発点です。振り返りやフィードバックの時間も必要ですが、それよりも未来の話がメインになるように話題を変えていきましょう。来期に向けたアクションなどを部下に伝える場とする方がより良い時間となります。

◆未計画で現場丸投げの0JT、新人指導止まりの0JT

OJTを行う場合、現場に丸投げではなくある程度の計画を示した方が、会社として有益なOJTを実施できます。また、OJTの目的は指導ではなく育成です。そのためにも、育成計画としてしっかり戦略立てて行うべきです。

◆一般論ばかりでマンネリ化している階層的研修の実施

評価制度において役職が上がるごとに役職別研修などを実施している企業も少なくありませんが、一般論ばかりで階層別にしている意味がないのではないかという場合もあります。役職別の研修を行う場合、一般論よりも実践と紐づけた内容の研修を行いましょう。

◆個人任せのマネジメントで目標達成・成長するかはフタを開けてみないとわからない

マネジメントは、採用した人材が今後成長できるかどうかに大きくかかわる要素です。従業員の成長のため、再現性のある仕組で目標達成や成長を実現できるよう、マネジメントも仕組化して運用できることが理想的です。

そもそも人事制度の目的を間違えている会社が多い

人事制度とはそもそも何のためにあるのでしょうか。
人事制度の運用がうまくいっていない企業において、目的のところで間違っていると感じるケースが多くあります。

・成果を出している社員や能力のある社員とそうでない社員で給与が同等なら不公平だからできる社員とできない社員で報酬に適切に差がつくようにしたい
できる社員とできない社員で報酬に適切に差をつけるための評価制度

・これまで社長が時間をかけて一人ひとりの査定をして給与を決めていたが『何を評価されているのかわからない』という不満の声が多い。誰が見ても納得できる査定基準と合理的な報酬決定ルールを作りたい
誰が見ても納得できる査定基準と合理的な報酬決定ルールを作るための評価制度

・これまでは会社の規模も小さかったので一人ひとりの顔も仕事も見られていたが社員数が20人を超えたくらいから難しくなってきた。それに評価制度もないというのもどうなのかと思いそれなりの組織になった証として会社の仕組みで運営したいと考えている
それなりの組織になった証として作る評価制度

以上はありがちな目的ですが、これらを目的として掲げても人事制度がうまく機能することは難しいでしょう。その理由は次のとおりです。

◆社員の報酬に差をつけると報酬が下がる人のモチベーションが下がる

報酬が下がる人は、自分が努力した成果が評価されないと感じ、仕事へのモチベーションが下がります。報酬が下がった人の意識が急に変わり成果を上げるようになるかというとそんなに単純な話ではありません。また、報酬が上がった人のモチベーション向上は一過性でありすぐにそれが当たり前となります。
結果として組織全体でのトータルのモチベーション向上効果はありません。

◆査定基準や報酬決定ルールが明確になると現場の負荷が高まる

査定基準や報酬決定ルールを作っても次なる不満が聞こえます。それは「現場の負荷が高く運用しきれない」ということです。査定基準や報酬決定ルールが明確になると査定や報酬を決める経営者の苦労は減りますが現場の負荷が高まるのです。
自分たちで一連の目標設定・運用・評価・フィードバックを丁寧に進めるのではなく普段は何の負荷もない状態で期末になってAIで評価入力ボタンを押すと評価点数が自動的に出てくるようなものがあるならば別ですが当然ながらそんな便利なものはありません。

◆運用のマンネリ化が始まる

それなりの組織になった証として作るのが目的であれば人事制度ができあがった瞬間には満足します。しかし、制度ができあがるのは目的であり、そこから運用の負荷のみが継続し、マンネリ化するという状態が目指す姿ではないでしょう。そこからがスタートであり、運用しながら本来の目的、ありたい姿、得たい効果を目指したいものです。

人事評価制度の目的

人事制度の目的は「目標管理・評価制度というマネジメントツールを活用してマネジメント活動を推進し、社員の成長を後押しし、経営成果と業績向上につなげること」であり、その目的を目指した人事制度を「成長実現型人事制度」と定義します。

人事評価制度の目的について詳細はこちらの記事をご確認ください。>>>

人事評価制度の目的の目的を見失わずに、適切な人事評価制度を運用しましょう

人事評価制度の運用は、どの企業でも何かしら課題がある場合がほとんどです。しかし適切な人事評価制度の運用は、従業員の方の不満を減らし、生産性を向上させることにもつながります。

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「既存の人事評価システムがうまく機能していない」

「既存の評価システムでは、自社の体制に合わせた職種や役職を設定できない」

 

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ロイヤル総合研究所

人事コンサルティングチーム