人事制度の目的

2024.01.16

人事制度の運用は投資である

人事制度の本来の目的とは何でしょうか。
社員の報酬に差がつき、経営者の苦労が減り、それなりの組織の証ができました。しかし、これらを実現することが「真の目的」ではありません。
仮に、この目的で人事制度を行った場合、成果や効果は本当に生まれるでしょうか?

人事制度の運用には毎年多大な工数がかかります。
その工数の大部分は現場の負荷となります。
人事制度という大掛かりな仕組みを運用するには大きな投資が必要です。
投資ですから、それに見合ったリターンを回収しなければなりません。
投資が必要だという現実を直視し、その上でこれだけの効果・リターンがあるので、徹底して運用しようという心積もりで人事制度を展開する必要があります。

人事制度運用によって得られる効果よりも、人事制度運用の負荷のほうが高ければ人事制度は必ず形骸化します。

人事制度の真の目的は社員の成長と経営成果と業績向上

人事制度運用で得られるリターン・効果とは何でしょうか?
経営として投資をするのですから、最も大きな目指すべき効果は、「業績向上・長期的な利益の最大化・会社の成長」であるはずです。
その投資に対する効果を得られるための人事制度の内容であり運用でなければなりません。
社員の成長や業績向上、会社成長が実現できていないにもかかわらず、次のような結果が生まれるだけでは人事制度の意味がありません。

・社員の給与に差がつくようになった
・しっかりした査定基準ができて経営者の苦労が減った
・それなりの組織としての証ができた
・内部管理ツールができあがった

人事制度の目的は「目標管理・評価制度というマネジメントツールを活用してマネジメント活動を推進し、社員の成長を後押しし、経営成果と業績向上につなげること」であり、その目的を目指した人事制度を「成長実現型人事制度」と定義します。
そのためには、

①人事制度によって、社員に求めるものを明確にする
②社員に求めるものができるようになるように社員が成長する
③社員に求めるものを実行・達成することで業績が向上し会社が成長する

以上のような経営レベルのサイクルを実現する必要があります。

会社として社員に求めるものを明確にする

最初にチェックすべきは、「会社として社員に求めるものを明確にする」作業です。
社員に求めるものが明らかになっている状態とは次の条件を満たす必要があります。

1.言語化して文字として伝える

経営陣や上司から日々さまざまなメッセージが口頭で伝えられます。
・自律の必要性
・生産性向上
・発展性のあるアイディアなど
これらは社員に求めているものであるはずですが、その時々また人によって表現やニュアンスが変わってしまうので言葉として明記されている状態にするのが第1の条件です。
行動指針のように社内で掲げる、或いは等級基準や人事評価シートの項目、スキルマップ、教育の最終イメージなどのように人事制度の中で言葉に落とし込むことが必要です。

2.抽象的ではなく具体的に伝える

仮に社長から「幹部らしくもっと高い視点で考えてほしい」「幹部として会社全体のことを管理してほしい」と言われたらどのように応対するでしょうか。高い視点とは?会社全体の管理とは?具体的説明が出来るでしょうか。自分なりの解釈ができていたとしてその解釈は社長の解釈と同じ内容でしょうか。
認識のすり合わせ・ギャップの解消ができていなければ社長が求めているものは実現されないままです。

言語化・具体化した項目はなぜ重要なのか、それは社員に求めるものを実行することで業績向上につなげるためです。

社員が何をすれば業績向上、会社成長につながるのかを論理的に「会社として社員に求めるもの」として伝える必要があります。
理念や戦略と連動した自社らしさが盛り込まれ業績向上につながる行動や成果のイメージが明確になっているならば心配ありません。

逆に、自社の評価制度・人事評価シートを確認して、何となく「協調性」「責任感」などの象徴的かつ一般的な評価項目が並んでいるならば恐らく形骸化しているでしょう。
各種調査で、社員が不満に感じていることのトップ3に挙がるのは「評価への不満」です。しかし、その中身は「自分の評価結果に納得がいかない」とか「評価基準が不透明」ではなく、「具体的に何を求められていて、何を評価されるのかがわからない」です。
評価結果や評価基準は「評価制度のルール」という狭いレベルの問題ですが、「具体的に何を求められている」のかをわかっているというのはそもそも仕事を進める上の「前提」であるはずです。

「前提」を見失っては意味のある人事評価制度とは言えません。




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ロイヤル総合研究所

人事コンサルティングチーム