業績評価システムのマネジメントにおける勘違い

2024.02.06

業績評価制度を上手に運用するために欠かすことができない前提条件

◆PDCAサイクルを上手に回し生産性を高めるために必要な考え方
◆財務目標達成だけでなく戦略そのものの推進を実現するための管理
のあり方
◆マネジメントの大前提となる会社内での情報共有に対する姿勢

成果は組織で勝ち取る

会社組織の中で昇進を重ねるたびに自ら動かず、考えず、現場と一緒に悩むことをせず上目線で指摘のみにいそしむ、そのような幹部が横行する企業は意外に多いものです。
指摘が的を射た或いは現場にとって役立つ情報であれば良いのですが、殆ど意味をなさない指摘に生きがいを見出しているケースは少なくありません。

①陳腐化してしまった過去の情報および成功体験に基づいてあたかも環境が何も変化しないかのように同じことを言い続ける。

②表面だけを捉えてそのまま指摘するだけで分析を試みようとしない。

ピラミッド組織の上位に情報が集中し、上位者が豊富な情報に基づいて判断を下す、そんなノスタルジックな企業組織は崩壊してしまいます。日々、社内ネットワーク・メール・SNSなど様々なメディアを介して情報が縦横無尽に飛び交っています。むしろ現場のほうに役立つ情報があったりします。

上役の役割は経験に基づく陳腐化することのない普遍的なノウハウや長年にわたって構築した社内外での人脈、それらを活かして部下とともに課題を共有し一緒に問題解決をする、そうでなければ上位者として高い給料をとっている意味はないと言っても過言ではありません。

不足するネタについては担当者にすべて任せるのではなく、上司やときにはトップまでも巻き込んでネタを創出する努力をしなければなりません。

単に「足りない」と指摘するだけではなく、足りない部分については上司自らも自分のこととして担当者と一緒になって悩み、ネタを創出する努力をする。そのときにこそ活かすべきが経験や人脈やノウハウだと言えます。

チェックのあり方

チェックだけで他の責任を放棄するようなことはあってはならないのですがチェックそのものは大切な機能です。
しかしチェックのやり方を誤っているケースが多いのも事実です。
劣っている、不足している部分を指摘するだけではなく「足らず」の原因をしっかりと分析することが重要です。

①結果だけを評価するのではなくプロセスを分析する

②原因は、人/道具/材料/予算/方法の観点から分析する

③いずれかに問題を発見した場合、さらにその真因を追究する

効果的なマネジメントサイクルの長さ

チェックに関してもうひとつ重要なことは、どういう頻度でチェックするのかということです。
つまりマネジメントサイクルの一回転の時間的長さをどうするかという点です。

当然ながら中期計画のような3年以上の長いサイクルのものから年単位で回すべきもの、月単位で回すべきものと様々ですが、管理する要素に応じて長さを明確にしておくことが重要です。

実際原価による製品別損益を毎月チェックしているケースがあります。このケースは少し専門的になりますので結論だけ述べると以下のようになります。

①製品別実際原価は毎月変動する

②変動の原因の多くは全体の操業度の変化によるものである

③したがって、全体の操業度が製品別損益変動の主たる要因のひとつであり、製品自体の生産活動には問題のないケースも多い

④そのように毎月変動する原価をもとに一喜一憂することには何の意味もない

⑤毎月の損益は予定の原価で見れば十分であり、場合によっては固定費を各製品に配賦する必要すらない

⑥製品別実際原価はせいぜい四半期か半期に一度程度、中期的視点からの製品ミックスや製品別コスト管理の視点から行えば十分である

このように、比較的長いサイクルでチェックすれば十分なものもあれば、逆になるべく短いサイクルでチェックした方がよいものもあります。

※短いサイクルでチェックするべきものとして、「行動の振り返り」があります※

心理学の一分野である行動分析学では、「行動の振り返り」は最低でも1週間に1度の頻度で行う必要があると結論づけています。
行動分析学では、人(他の動物も)の行動の直前と直後との環境変化に注目します。その環境変化によって行動は強化(ますますやるようになる)されたり弱化(やる頻度が減少する)されたりすると説明しています。そしてその直後とはおおむね60秒以内とのことです。
だからと言って、その都度上司が部下を60秒以内に褒めたり笑顔を見せるのは実務としてほぼ不可能です。そこで、行動分析学ではこんなケースの場合、最低1週間のサイクルで行動についての約束をしなさいと結論づけています。
行動しないことによる不安感の高まりがあり、行動することによって不安感がなくなるという内面的な褒美が行動を促すことになると説明しています。
そしてこの不安感の高まりは1週間程度のサイクルでなければなかなか有効ではないと言われています。
仮に、「期限までまだ2週間ある」と思ったときの不安感と、「もう3日しかない」と思ったときの不安感とでは後者の方が明らかに高いものがあることは容易に想像できます。
この不安感の高まりを抑えるために行動する。故に行動に対するチェックのサイクルは短いほうが良いとされています。

フィードバックにおける留意点

チェックにおいてはフィードバック情報をを上手に提供する必要があります。
良いフィードバックの条件とは以下のようなものがあります。

①フィードバックは会計データだけにとどめず現場の情報を最大限に活用する。

損益計算書や貸借対諸表は会社全体或いは部門別の結果を示すに過ぎません。課題を発見したりするために重要な書類ですが、問題の真因を特定し行動につながるような分析を行うためには、現場の情報を取り込んだより細かい分析が必要であることが多いでしょう。
例えば、要素別に分解する、2軸で相関関係を見る、バラツキを見る、変動(傾向変動/循環変動等)を見る、などといった分析が有効になります。

②経理部門だけに依存するのではなく現場が積極的に関与する。

現場の情報を取り込むには、あらかじめ経理のみならず製造や営業といった現場のデータをどのように加工し見せるかを設計しておく必要があります。

③フィードバックするべき頻度は情報によって異なる。

毎日見なければならないデータ、毎月見なければらないデータ、四半期や半期に一度見れば十分なデータなど、チェックする頻度を明確に意識してフィードバックの仕組みを設計しなければなりません。
例えば、製品別の損益計算は月次では限界利益(売上高-変動費)までにとどめ、固定費の配賦を含む売上総利益あるいは営業利益は半期に一度チェックをするといった具合です。そもそも固定費の配賦額は全体の操業などによって大きく変化するので月毎に一喜一憂することには意味がなく混乱を招くだけです。

④計画策定の時点でフィードバックの仕組みをつくっておかなければならない。

計画策定時の戦略/戦術に合わせたフィードバック情報とそのつくり方をあらかじめ構築しておく必要があります。

⑤とはいえ、仮説/検証プロセスを前提に臨機応変にフィードバック情報を考えなければならない。

一方では期中において追加で分析しなければならない事柄が明らかになった場合は臨機応変にこれを実施する柔軟さは必要です。




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